「エアシリンダーが動かないと思って確認したら、ソレノイドバルブ(電磁弁)まで電気は来ているのに作動していない…」
「手動ボタン(手動操作弁)を押しても切り替わらない…」
現場でエア駆動機器のトラブルが起きた際、原因がシリンダー側なのか、それを制御するソレノイドバルブ(電磁弁)側なのかで迷うことはよくあります。
この記事では、ソレノイドバルブが切り替わらない時の原因特定から、現場でドライバー1本でできる確認手順、実際の対処法までを分かりやすく解説します。
結論:まずは「電気系(コイル)」か「空気系(スプール)」かを見極める
ソレノイドバルブが作動しない場合、まずは「電気信号で励磁(ソレノイドがON)しているか」と「手動で物理的に切り替わるか」を試します。
- 手動を押しても動かない: エア供給不足、排気詰まり、内部スプールの固着・異物噛み込み(機械系トラブル)
- 手動なら動くが電気で動かない: コイル断線、断線、PLC出力回路やリレーの不良(電気系トラブル)
この「手動操作」による一次切り分けが、原因特定への一番の近道です。
主な原因
ソレノイドバルブが正常に作動しなくなる主な原因は以下の4点です。
- ドレン(水分)や油分・粉塵によるスプールの固着
- エア源(コンプレッサー側)のドライヤー不調などでドレンが配管内に流入し、内部の潤滑グリスが流されたり、異物が噛み込んでスプール(弁芯)が動かなくなっている。
- ソレノイドコイルの焼損・断線
- 経年劣化や過電圧、連続通電による熱で内部のコイルが切れている。
- 供給エア圧の不足
- パイロット式の電磁弁の場合、作動に必要な最低動作圧力(例:0.15〜0.2MPa以上)を下回っていると、電気信号が入っても弁が切り替わらない。
- 配線部・コネクタ部の接触不良またはサージキラーの破損
- 端子箱内の緩みや、LED表示灯付きコネクタの基板損傷により、コイルまで電圧が届いていない。
現場での確認方法(4ステップ)
現場でトラブルが発生したら、工具箱の精密ドライバーとテスターを持って以下の順番で確認します。
ステップ1:パイロットランプ(LED)と手動ボタンの確認
- PLCやリレーからの信号入力時、バルブのLEDが点灯しているか確認します。
- 信号が入っているのに動かない場合、バルブ本体にある「手動ボタン(赤や黄色のピン)」をドライバーなどで押し込み、物理的に動作するか試します。
ステップ2:供給エア圧力(元圧)の確認
- マノメーター(圧力計)で、バルブの「Pポート(供給口)」に規定のエア圧がかかっているか確認します。フィルタレギュレータの目詰まりにも注意してください。
ステップ3:ソレノイドコイルの抵抗値測定(電源OFF状態)
- 電源を落とし、コネクタを外してテスターでソレノイドコイルの抵抗値を測定します。
- 導通がない(∞ Ω)場合: コイルが断線しています。
- 極端に抵抗値が低い(数Ω以下)場合: 内部ショート(レアショート)を起こしています。
ステップ4:供給電圧の測定(電源ON状態)
- コネクタを指した状態(または端子台)で、作動指令時に定格電圧(DC24VやAC100Vなど)が正しく印加されているか確認します。
実際の現場例:ライン停止を引き起こした「ドレン噛み込み」
ある組立ラインで、ワークをクランプするエアシリンダーが前進しなくなり、ラインが自動停止しました。
現場で起きていたこと
- 初期状況: PLCの出力ランプはON、電磁弁のLEDも点灯しているが、シリンダーがピクリとも動かない状態。
- 原因調査: 電磁弁の手動ボタンを押してみたものの、カチッという応答感がなく硬くて押せない状態でした。エア配管を外してみると、内部から白濁した水滴(ドレンと流されたグリスの混ざったもの)が吹き出してきました。
- 応急処置: FRLユニット(エアフィルタ)を確認したところ、オートドレンの排出ポートがゴミで詰まり、エア配管内に水が回っていました。電磁弁本体を新品に交換するとともに、上流のエアフィルタの清掃・ドレン排出を実施して復旧しました。
再発防止策
電磁弁のトラブルを防ぎ、寿命を延ばすためには「クリーンなエア」の維持が不可欠です。
- エア品質管理の徹底(ドレン対策)
- エアフィルタの定期的なドレン抜き、エレメント(要素)の定期交換(年1回など)を保全計画に組み込む。
- 耐環境性に合ったバルブ選定
- 固着しやすい環境(無給油エアで頻繁に停止するラインなど)や、粉塵が多い環境には、耐食性・耐粉塵性の高いバルブへの見直しを検討する。
- 手動ピンの保護
- 現場で手動ピンを強い力で押しすぎて内部構造を破損させるケースがあります。手動操作時の注意喚起を徹底する。
まとめ
ソレノイドバルブ(電磁弁)のトラブル対応のポイントは以下の通りです。
- 手動ボタンを押して「電気系」か「機械(エア)系」かを即座に切り分ける
- 手動で動かない時は、エア圧力不足かドレンによる「スプールの固着」を疑う
- 手動で動く時は、テスターで「電圧」と「コイルの抵抗値」をチェックする
シリンダー本体の故障と勘違いして時間をロスしないよう、まずは電磁弁の手動操作からチェックしてみてください。
次回の記事案(候補リスト)
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