「休日や休憩時間、誰も設備を使っていないのにコンプレッサーが回り続けている…」
「工場内でどこからか『シューシュー』と音が聞こえるけれど、場所が特定できない…」
工場のユーティリティ(一次側・二次側配管)で最も多いトラブルの一つが「エア漏れ(漏気)」です。エア漏れは設備の動作不良を引き起こすだけでなく、電気代の無駄(無駄な電力消費)に直結するため、保全マンとして早期発見・修繕が強く求められるポイントです。
この記事では、現場で使えるエア漏れの見つけ方から、原因の特定手順、具体的な修修繕方法までを解説します。
結論:まずは「稼働音(耳)」と「石鹸水(気泡)」で絞り込み、ネジ部・ワンタッチ継手を疑う
エア漏れ調査の基本は、大掛かりな機器を使う前に「生産停止時(静寂時)の耳と目」で探すことです。
- 音が大きい漏れ: 休日や夜間のライン停止時に耳を澄まして場所を特定
- 目視できない微小な漏れ: 検漏液(または石鹸水)を吹きかけて「泡」で特定
漏れが発生しやすい場所の9割以上は配管のストレート部ではなく、「継手(ワンタッチ・ねじ込み)」「バルブ・FRL周辺」「ホースの亀裂」です。
主な原因
配管からエアが漏れる主な原因は以下の4点です。
- ワンタッチ継手・ワンタッチチューブの経年劣化
- チューブの挿入不足、斜めカット、または振動や引張による傷。また、継手内部のOリング(パッキン)の劣化。
- ねじ込み部(PTねじなど)のシールテープ・シール剤の施工不良・劣化
- 巻き数が足りない、巻き方向が逆、経年変化による振動での緩み。
- エアホース・エアーカプラの摩耗・損傷
- 稼働部でこすれたホースの亀裂、または脱着を繰り返したワンタッチカプラ(クイックカプラ)の内部パッキン摩耗。
- FRL(フィルタ・レギュレータ・ルブリケータ)のドレン弁の閉じ不良
- オートドレンに異物が挟まり、ドレン排出ポートからエアが吹き放しになっている。
現場での確認方法(4ステップ)
エア漏れを発見し、場所を特定するための4ステップです。
ステップ1:ライン停止時(静寂時)の音による一次捜索
生産ラインが動いている最中は機械音でエア漏れ音が消されてしまいます。昼休みや定修日、残業終了後など「周囲が静かなタイミング」で配管ルートに沿って歩き、「シュー」という音を耳で探します。
ステップ2:検漏液(リークチェック液・石鹸水)によるピンポイント特定
音で大まかな場所を絞り込んだら、スプレー式の検漏液(なければ水で薄めた中性洗剤)を継手や接続部に吹きかけます。
- 小さな泡がブクブクと膨らむ: 漏れ箇所です。
- 注意点: 電気部品(電磁弁のコネクタやセンサー類)にかからないよう注意してください。
ステップ3:超音波リークチェッカーの活用(設備がある場合)
工場全体の点検や高所配管の場合、人間の耳では聞こえない超音波(エア漏れ時の摩擦音)を検知する「超音波リークディテクタ」を使用すると、離れた場所からでも漏れ箇所を即座に特定できます。
ステップ4:元バルブの閉鎖テスト(ブロックごとの絞り込み)
ライン全体の漏れ量を把握したい場合、設備の手前にある主バルブ(元弁)を閉め、圧力計(マノメーター)の針が下がるスピードを確認します。針がみるみる落ちる場合はどこかで大きな漏れが発生しています。
実際の現場例:ワンタッチチューブの斜め切りによる微小漏れ
ある自動組み立てラインで、コンプレッサーの稼働率が以前より上がっており、電力コストの増加が問題になっていました。
現場で起きていたこと
- 初期状況: 設備の動作自体には問題がないが、休日に工場内に入ると電磁弁マニホールドの裏側あたりからかすかな異音がしていた。
- 原因調査: 検漏液を吹きかけたところ、電磁弁に挿入されている外径φ6のナイロンチューブの根元からブクブクと泡が発生していました。チューブを抜いて先端を確認すると、カッターナイフで斜めに切断されており、ワンタッチ継手内部のパッキンに均等に当たっていませんでした。
- 応急・永久処置: 専用の「チューブカッター」を使用してチューブ断面を直角(90度)にきれいに再カットし、奧まで確実に奥突くまで再挿入。検漏液で泡が出ないことを確認して修繕完了としました。
修繕方法と再発防止策
発見したエア漏れを正しく直し、再発生を防ぐためのポイントです。
- ワンタッチチューブの施工ルール徹底
- はさみやカッターナイフで切らず、必ず専用のチューブカッターを使って垂直に切断する。
- 挿入時は「カチッ」と奥まで入った手応えを確認し、軽く引っ張って抜けないか確認する。
- ねじ込み継手のシールテープ巻き直し
- シールテープを巻く際は、ネジの先端1山を残し、ネジの切られている方向(時計回り)に5〜6回ほど引っ張りながら巻く。先端に残すと削れたテープ片が電磁弁に噛み込んで二次トラブルの原因になります。
- 定期的な漏気点検の「見える化」
- エア漏れを発見した場所に「エア漏れ点検エフ(タグ)」を貼り、優先度をつけて順次修繕する運用を作る。
まとめ
配管のエア漏れ(漏気)対応のポイントは以下の通りです。
- 静寂時(ライン停止時)に「耳」と「検漏液」で継手・バルブ周辺を探す
- ワンタッチチューブは「専用カッターで垂直切り&奥まで挿入」を徹底する
- ねじ込み部はシールテープの巻き方向と巻き幅に注意して巻き直す
エア漏れの修繕は、現場の保全マンが成果(省エネ・電気代削減)を数字で出しやすい非常に重要な業務です。日頃の巡回点検で「シュー」という音を見逃さないようにしましょう。

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