「コンベヤのギヤドモーター周辺から『ガリガリ』『ゴー』と異音が聞こえる…」
「モーターを手で触れないほど異常に熱くなっている(熱を持症状)…」
搬送設備や攪拌機など、現場のあらゆる駆動部に使われている「ギヤドモーター」。異音や発熱は、モーターや減速機が悲鳴を上げている「焼き付き・破損の直前サイン」です。放置すると歯車の破損やモーター焼損を引き起こし、長時間のライン停止につながってしまいます。
この記事では、ギヤドモーターで異常な異音・発熱が発生した際の原因特定から、現場でできる確認手順、実際の対処法までを分かりやすく解説します。
結論:まずは「異音の種類(機械的)」と「過電流・潤滑不足(電気・オイル)」を切り分ける
ギヤドモーターのトラブル対応では、まず「どこから」「どんな音がしているか」と「オイル(グリース)状態」を確認します。
- 異音(ガラガラ・ゴー): ギヤ(歯車)の摩耗・欠損、またはベアリングの破損(機械系トラブル)
- 発熱(手で触れない熱さ): オイル切れ・不適合、機械的過負荷、または欠相・電圧低下(電気・環境系トラブル)
「減速機(ギヤ)側の問題」なのか「モーター(電気)側の問題」なのかを切り分けることが、二次被害を防ぐための最優先事項です。
主な原因
ギヤドモーターが異音や発熱を起こす主な原因は以下の4点です。
- 潤滑油(オイル・グリース)の不足・劣化・不適合
- オイル漏れによる油量不足、長年の使用による酸化劣化、または指定以外の潤滑油使用による油膜切れ。
- ベアリングの摩耗・破損(焼き付き)
- 経年劣化や過度なラジアル荷重(チェーンやベルトの張りすぎ)により、ベアリングのボールやレースが損傷している。
- ギヤ(歯車)の摩耗・噛み合い不良
- 衝撃荷重や長年の摩耗により、歯面が荒れたり歯が欠けたりしてスムーズに噛み合わなくなっている。
- 過負荷(オーバーロード)および電気的要因(単相運転・電圧低下)
- 搬送物の引っかかり等による負荷増大。または3相電源のうち1相が断線した「欠相(単相運転)」状態になり、モーターが唸り音(ウー音)を出して急激に発熱している。
現場での確認方法(4ステップ)
現場で異音や発熱を感知したら、安全に配慮しながら以下の手順で確認を進めます。
ステップ1:異音の発生箇所と音質の確認(聴診器・ドライバー活用)
長柄のドライバーの柄を耳に当て、先端を「減速機部」と「モーター部」にそれぞれ押し当てます(簡易聴診)。
- 「ゴー」「コロコロ」: ベアリング損傷の可能性
- 「ガリガリ」「周期的な打撃音」: ギヤの歯欠け・噛み合い不良の可能性
- 「ウー(低音の唸り)」: モーターの欠相(電気系)や機械的ロックの可能性
ステップ2:油量とオイル状態の確認(減速機部)
- オイルゲージ(油量窓)やオイルプラグを確認し、規定の油量が入っているか確認します。
- オイルの色を確認し、黒く濁っている、または金属粉(スラッジ)が混ざっていないかをチェックします。
ステップ3:運転電流値の測定(電気部)
- クランプメーターを使用し、R・S・T各相の入力電流値を測定します。
- 確認ポイント: 電流値が定格電流を超えていないか。また、特定の1相だけ電流が流れていない(欠相)状態になっていないか確認します。
ステップ4:相手機械との切り離し(単体運転テスト)
- 可能であれば、チェーンやカップリングを外してギヤドモーターを相手機械から切り離し、単体で手で軸を回してみます(ゴリゴリ感の有無)。
- その後、無負荷で単体運転を行い、異音・発熱が消えるか確認します(消えれば相手機械側の負荷・芯ズレが原因)。
実際の現場例:チェーンの張りすぎによるベアリング破損
あるケース搬送コンベヤで、ギヤドモーター付近から「ゴー」という異音がし、減速機ケースが手で触れないほど発熱(80℃以上)していました。
現場で起きていたこと
- 初期状況: 動作自体はしていたが、周囲に金属粉が微量に落ちており、唸り音が発生していた。
- 原因調査: 前日の定期点検で駆動チェーンの伸びを調整した際、チェーンテンションを強く張りすぎていたことが判明。過度なラジアル荷重(引っ張り力)が軸にかかり、減速機出力軸のベアリングが偏摩耗して発熱・異音を出していました。
- 応急・永久処置: すぐにチェーンテンションを適切な弛み(たわみ量)に調整し直したものの、ベアリングの傷が残っていたため予備品と総交換。交換後はチェーンたわみ量の規定値を現場に明記して再発防止としました。
再発防止策
ギヤドモーターを長持ちさせるための保全ポイントです。
- 定期的な潤滑油(オイル)の交換と補給
- オイル潤滑タイプの場合、初回は稼働後500時間程度、以降は2,000〜5,000時間(または1年ごと)を目安にオイル交換を行う。
- 過剰なテンション(引っ張り)をかけない
- チェーンやVベルトを張る際は、必ず規定の「たわみ量」を確認し、張りすぎによるベアリングへの負荷を避ける。
- 熱画像(サーモグラフィ)による定期温度モニタリング
- 日常点検時に非接触温度計やサーモグラフィでケース温度(目安として70〜80℃以下)を測定し、温度上昇の傾向を捉える。
まとめ
ギヤドモーターの異音・発熱対応のポイントは以下の通りです。
- 聴診(ドライバー)で「ギヤ」か「ベアリング」か「電気(欠相)」かを切り分ける
- 減速機のオイル量と金属粉の混入(濁り)をチェックする
- 単体運転を行い、原因がモーター側か「相手機械の過負荷・テンション張りすぎ」かを見極める
ギヤドモーターの異音・発熱は放置すると全損につながります。「いつもと違う音がする」「ケースが熱い」と感じたら、すぐに運転を止めて点検を行いましょう。

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