「何も無いのに近接センサーのランプが点きっぱなしになっている…」
「ドグ(検出体)が目の前を通っているのに、時々反応しなくてラインがチョコ停する…」
金属パーツの検出や位置決めに欠かせない「近接センサー」。光電センサーと違って汚れに強いと思われがちですが、現場では特有の原因で誤作動や不検知を起こします。
この記事では、近接センサーが反応しない・誤作動する時の主な原因から、現場でできる確認手順、具体的な対処法までを解説します。
結論:まずは「センサー面の金属粉」と「検出距離(隙間)」を確認する
近接センサー(高周波発振型)のトラブル原因の多くは、電気的な故障ではなく物理的な環境変化です。
- 常時ON(点きっぱなし): 検出面に切削粉・鉄粉などの金属ゴミが付着している
- チャタリング・不検知(時々反応しない): 振動による検出距離の開き(ギャップ過大)
まずはテスターを出す前に、「検出面の清掃」と「隙間(ギャップ)の目視確認」を行うのが最短で原因を見つけるコツです。
主な原因
近接センサーが誤作動を起こす主な原因は以下の5点です。
- 検出面(ヘッド部)へのスラッジ・鉄粉の付着
- 近接センサーは磁界の変化を検知するため、検出面に切削粉や鉄粉が付着すると「ワークがある」と誤認識して常時ONになります。
- 機械の振動による位置ズレ(検出距離オーバー)
- シリンダーやストッパーの衝撃・振動により、センサーの取付ナットが緩み、ドグとの距離が広がりすぎて検出できなくなっている。
- 周囲の金属(周辺金属)による干渉
- センサーを交換した際、規定の埋め込み距離を守らずにフレーム近くへ設置したため、周囲の金属を検知してしまっている。
- 相互干渉(センサー同士が近すぎる)
- 同種類の近接センサーを密着して並べて配置したことで、互いの発振磁界が干渉し合い動作が不安定になっている。
- コードの断線・引っ張り
- 可動部(シリンダー先端やロボットアーム)に取り付けられたケーブルが屈曲疲労で内部断線しかけている。
現場での確認方法(4ステップ)
現場でトラブルが発生したら、以下の手順で原因を切り分けます。
ステップ1:動作表示灯(LED)の状態観察と清掃
- 動作表示灯(赤や緑)がどう点灯しているか確認します。
- ウエスなどで検出面を綺麗に拭き取り、表示灯の状態が変わるか(常時ONが消えるか)確認します。
ステップ2:動作距離(ギャップ)の測定
- ドグが最接近した位置で、センサーヘッドとドグの隙間をシックネスゲージ(またはスケール)で測定します。
- ポイント: 定格検出距離(例:5mm)の約70〜80%以下(設定可能距離:例3.5mm以下)に収まっているかを確認します。
ステップ3:動作表示灯のカラーチェック(2色表示タイプの場合)
- 多くの近接センサーは「緑=安定検出エリア」「赤=不安定検出エリア」となっています。ドグが通過した際、緑色で点灯しているかを確認します(赤色のままだと振動で不検知になります)。
ステップ4:手動テストとケーブルの揺すり確認
- スパナやドライバーなどの金属をセンサーヘッドに近づけてLEDが反応するか確認します。
- 反応が怪しい場合は、配線ケーブルを根元から手で軽く揺すり、LEDがチラつかないか(断線チェック)確認します。
実際の現場例:治具位置決めセンサーのチョコ停
あるマシニングセンタのワーク供給ラインで、「ワークセット完了」の近接センサーが時々不検知を起こし、ラインが頻繁にストップ(チョコ停)していました。
現場で起きていたこと
- 初期状況: 手動でワークをセットし直すと動くが、自動運転にすると50回に1回ほどセンサー信号が入らず停止する状態。
- 原因調査: ドグが到達した時の表示灯を確認すると、緑色ではなく「赤色(不安定検出)」で点灯していました。ブラケットの固定ボルトが緩み、振動でわずかに0.5mmほど後退していたことが原因でした。
- 応急処置: シックネスゲージで適正距離(1.5mm)に再調整し、ナットをしっかりと締結。表示灯が安定した「緑色」に点滅することを確認して復旧しました。
再発防止策
近接センサーのトラブルを未然に防ぐための保全ポイントです。
- スプリングワッシャーやダブルナットによるゆるみ止め
- 振動が多い場所では、ナット1個での固定を避け、ゆるみ止め対策を徹底する。
- 異形(シールド型/非シールド型)の仕様確認
- 周囲に金属が多い場所に設置する場合は、周囲金属の影響を受けにくい「シールド型(埋込型)」のセンサーを選定する。
- 耐油・耐屈曲コードの採用
- 切削油がかかる場所や可動部には、耐油性PVCコードや耐屈曲性の高いロボットケーブル仕様のセンサーを選定する。
まとめ
近接センサーのトラブル対応のポイントは以下の通りです。
- 「常時ON」は金属粉・スラッジの付着を真っ先に疑い清掃する
- 「不検知・チョコ停」は振動による取付位置のズレ(ギャップ過大)を疑う
- 調整時は「緑色(安定検出エリア)」で点灯する位置にセットする
電気的な故障と判断してセンサーを交換する前に、まずは拭き掃除と距離の再調整を試してみてください。

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