「タンクの水があふれ出そうになっているのにポンプが始動しない…」
「液面が下がってもフロートスイッチの信号が入ったままで、空引き(空運転)しそうになっている…」
排水ピットや液面制御タンク、水処理設備などで欠かせないのが「フロートスイッチ」です。フロートスイッチの不具合は、タンクのオーバーフローやポンプの焼損事故(空引き)に直結するため、保全マンとして迅速な対応が求められるトラブルです。
この記事では、フロートスイッチが動作不良を起こす主な原因から、現場での確認手順、具体的な復旧・対処法までを解説します。
結論:まずは「物理的なスタック(引っかかり)」か「内部接点の不具合」かを切り分ける
フロートスイッチが作動しない場合、まずは「フロート(浮子)自体が自由に動く状態か」と「傾けたときに電気信号(ON/OFF)が切り替わるか」を確認します。
- 手で動かすと引っかかる・浮かない: 浮子へのゴミ・スケール付着、浮子の浸水(物理的トラブル)
- 手で動かしても信号が変わらない・入りっぱなし: リードスイッチの固着、コードの断線(電気的トラブル)
この「手動での浮子可動チェック」を行うことが、原因特定への最短ルートです。
主な原因
フロートスイッチが作動しなくなる主な原因は以下の4点です。
- スカム・異物・スラッジの付着による物理的なスタック
- 排水中の油分、スラッジ(泥・異物)、スケールがフロートやウェイト(重り)、ケーブルに巻き付き、液面の上下に合わせてフロートが傾かなくなっている。
- フロート内部への液侵入(浸水・パンク)
- フロート容器のひび割れや経年劣化により、内部に液が浸入して重くなり、液面が上がっても浮き上がらなくなっている。
- 内部接点(リードスイッチ等)の溶着・固着
- ポンプや電磁弁の誘導負荷を直接開閉したことによるサージ電流で、内部のリードスイッチ接点が溶着し、信号がON(またはOFF)のまま固定されてしまう。
- ケーブルの屈曲疲労による内部断線
- 液面の揺れや可動を繰り返すことで、ケーブルの支点付近(ウェイト位置や支持部)で銅線が内部断線・半断線を起こしている。
現場での確認方法(4ステップ)
現場でトラブルが発生したら、テスターを持って以下の順番で確認を進めます。
ステップ1:目視による物理状態の確認
- 排水ピットやタンク内をのぞき込み、フロートが壁面、配管、他のフロートケーブルと絡まって(スタックして)いないか確認します。
- フロート表面に大量のゴミや油分が付着していないか目視します。
ステップ2:手動持ち上げテスト(物理動作チェック)
- 電源・制御回路の安全を確認した上で、引き揚げロープやケーブルを引っ張り、手動でフロートを傾けたり上下させたりします。
- フロートを手で振った際に、内部から「チャプチャプ」と水の音がする場合は、フロート内部に液が侵入(パンク)しています。
ステップ3:テスターによる導通・動作確認
- フロートの配線(端子台または中継ボックス部)を外し、テスターを抵抗(導通)モードにセットします。
- フロートを「水平〜上向き(ON状態)」と「下向き(OFF状態)」に手で傾け、導通(0Ω)と非導通(∞Ω)が正しく切り替わるか測定します。
- 傾けても導通が変わらない場合は、内部接点の溶着またはコード断線が原因です。
ステップ4:中継端子部・制御盤での電圧測定
- フロート単体が正常な場合、制御盤(リレーユニットやPLC入力部)側で信号電圧(DC24VやAC100Vなど)が正しく届いているか確認します。
実際の現場例:排水ピットの「油膜スカムによる沈下・スタック」
ある加工工場の地下排水ピットで、ピットの満水警報(高液面アラーム)が発報せず、排水があふれそうになるトラブルが発生しました。
現場で起きていたこと
- 初期状況: 水面はすでに警報ラインまで達しているのに、高液面用のフロートスイッチが下を向いたまま浮き上がっていない状態。
- 原因調査: フックでフロートを引き揚げたところ、切削油とスラッジが固まった厚い油膜(スカム)がフロート全体とケーブルにこびりつき、重みで浮力を失っていました。
- 応急処置: 洗剤とブラシでフロート表面とケーブルのスカムを完全に洗浄・除去。手動で傾けてテスターで接点のON/OFFが正常に切り替わることを確認してピットに再設置したところ、正常に満水検知を行えるようになりました。
再発防止策
フロートスイッチの動作不良を防ぎ、設備を安定稼働させるための保全ポイントです。
- 定期的な清掃と動作テストの実施
- 油分や異物が多いピットでは、月1回〜半年に1回の頻度で「引き揚げ清掃」と手動での動作テストを保全計画に組み込む。
- サージ吸収素子(キラー)の設置
- 接点溶着を防ぐため、リレーやマグネットスイッチのコイル駆動時は必ずサージキラーを並列に挿入し、接点保護を行う。
- 耐油・耐薬品仕様の選定と取付位置の最適化
- 油分が多い現場では「耐油性ケーブル仕様」、波立ちが多いタンクでは「保護カバー付き」や「波立ちの少ない位置への移設」を実施する。
まとめ
フロートスイッチのトラブル対応のポイントは以下の通りです。
- 手で引き揚げて「物理的な引っかかり」や「油膜による重み」がないか確認する
- フロートを振って「水の音」がしたら内部侵入(即交換)
- 配線を外し、手で傾けながらテスターで接点のON/OFF切り分けを行う
液面制御のトラブルは早期発見が命です。日頃の巡回点検で「フロートがスムーズに動いているか」をしっかりチェックしておきましょう。

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